船に乗ると、左舷・右舷って言葉が出てくるよね。でも「海の上にいるとき、どっちが左でどっちが右なの?」って考えたことない?実は、これを決めるのにめちゃくちゃ面白いルールがあって、なんと 海にも「水源」がある んだよ。
いや待って、「水源」ってあの、山奥で川がわき出てるやつじゃないの?ってなるよね。そう思うのは正しい。でも海事の世界では、ちょっと違う意味で「水源」という言葉が使われているんだ。今日はそのあたりをざっくりまとめてみるよ🚢
左舷・右舷の「左右問題」
船の「左舷」「右舷」は、船首(船の前)に向かって立ったときの左と右のこと。これ自体は船に対して固定されてるから、船がどこへ向かってるかは関係ない。
じゃあ、海の上に浮かんでる 浮標(ブイ) はどうだろう?
ブイには「航路の左端を示す」「航路の右端を示す」という役割があって、それを色で表している(緑が左、赤が右、のパターンが日本)。でもそのブイが「左端」なのか「右端」なのかは、どっちへ進むか によって変わってしまう。Aという港からBという港に行く船にとって左端のブイは、逆方向のBからAへ行く船にとっては右端になっちゃう。
だから「ある特定の方向へ向かっているときの左右」を統一して決める必要がある。そのときの「向かう先」として定めた地点が、海事用語で言う 「水源」 なんだ🌊
なんで「水源」って呼ぶの?
この命名、最初はちょっとポカンってなるよね(私もなった)。でもよく考えると理にかなってる。
もともとこの概念は 川の航行 から来てる。川の場合、水が流れ出てくる上流(=水源)に向かって進むのが基本の方向感覚。港や湾の場合も、海から見てもっとも奥まった場所、つまり「川で言えば上流にあたる場所」が水源として定められてる。
港・湾・河川及びこれに接続する水域の水源は、港もしくは湾の奥部又は河川の上流
— 第四管区海上保安本部「水源について」
つまり「水が生まれてくる場所(水源)に向かって進むときの左右を基準にする」という発想が、川から海へと拡張されていったわけ。英語では "upstream" という語が使われてて、これまたそのまま「上流」の意味なんだよね。海のブイなのに「上流」って表現してるの、面白くない?(´∀`*)
日本の「水源」はどこ?
港や湾の場合はその奥まった場所が水源なので自明なんだけど、広い沿岸部はどうする?という問題がある。
答えは 「沖縄県与那国島」 。日本の最西端に位置するこの島が、日本の沿岸全体における水源の原則として定められてる(昭和58年・海上保安庁告示第131号)。
要するに、「与那国島に向かっていくときの左・右」が、日本沿岸の標識の基準になっているということ。日本列島をぐるっと時計回りに巡るような流れをイメージすると、与那国島はその「上流」にあたるわけだね。
ただし、内海や入り組んだ水道地帯は別のルールがある。例えば 瀬戸内海(関門海峡含む)の水源は「阪神港(神戸港)」。宇高航路については「宇野港」が水源とされていた。なるほど、確かに瀬戸内海は東から西へ通り抜ける形になるから、与那国島よりも神戸港のほうが「奥」として機能するわけだ。
この「地域によって水源が変わる」ルール、実は航路標識を正しく読むための超重要知識なんだけど、あんまり一般に知られてないよね。
19世紀から始まった「色の戦争」
ここからは、どうしてこんなルールが生まれたのかの歴史のお話。
浮標式の歴史は古くて、1828年に イギリスのロバート・スティーブンソン が「右舷側を赤色、左舷側を黒色」にしようと提案したのが始まりとされてる。1882年にはイギリスがこれを国内で統一。
でも他の国はバラバラ。19世紀末から各国が独自の基準を作り続けた結果、なんと世界中に30種類以上の浮標式 が乱立することになってしまった…!
1889年のワシントン国際海事会議でも、1937年の国際連盟交通部会でも、統一しようという試みはあったんだけど、どれも失敗。戦争や各国の既得権益が邪魔をして、百年以上かけても統一できなかったんだよね💦
3隻の沈没が世界を動かした
転機は 1971年のドーバー海峡 で起きた。
タンカー「テキサス・アビリアン号」が沈没し、その場所に沈船警告灯が設置された。でも、各国の浮標式がバラバラすぎて、その警告灯の意味が別の船には伝わらなかった。その結果、数時間後に 貨物船「ブランデンブルグ号」が同じ場所に衝突・沈没。さらに数週間後には 貨物船「ニキ号」 もまた同じ沈船に激突……という連続事故が発生した。
「標識の意味が世界で統一されていない」という問題が、文字通り命取りになった瞬間だった。
この事故を受けて国際航路標識協会(IALA)が動き出し、1980年、東京 で開催された浮標式特別会議で「IALA海上浮標式」が採択。1982年に発効して、ついに百数十年越しの国際統一が実現した。ちなみにこの東京会議の開催と採択への貢献は、日本の海上保安庁が主導したんだよ!誇らしいね🇯🇵
「統一」したのに、実は2種類ある
一応ここで「めでたし、めでたし!」と言いたいところなんだけど、世の中そんなに単純じゃない。
IALA浮標式は「A方式」と「B方式」の2種類があって、それぞれで 左舷・右舷の色が逆 になってる。
| 方式 | 左舷標識の色 | 右舷標識の色 | 主な採用地域 |
|---|---|---|---|
| A方式 | 🔴 赤 | 🟢 緑 | ヨーロッパ・アフリカ・オーストラリア等 |
| B方式 | 🟢 緑 | 🔴 赤 | 日本・アメリカ・韓国・フィリピン等 |
そう、世界を2ブロックに分けた「妥協案」で決着したんだ……!歴史的経緯や各国の既得権益があって、さすがに完全な一本化はできなかったらしい。
だから、日本で「右舷標識は赤」と覚えた人がヨーロッパの海に行くと、標識の意味が全部逆になってる!という衝撃の罠がある。旅慣れた船乗りさんは「どっちのゾーンか」をまず確認するんだって。
まとめると
ちょっとまとめると、こんな感じ🐤
- 「水源」とは、海上標識の左右を決めるための 基準点
- 川で言う「上流」にあたる考え方が海に拡張されたから「水源」と呼ぶ
- 日本の沿岸は原則 与那国島 が水源。瀬戸内海は 阪神港(神戸港) など別途定められてる
- 歴史的には 30種類以上の浮標式が乱立 → 1971年ドーバー事故 → 1980年東京で国際統一
- でも完全には統一できず、現在も A方式(欧州等)とB方式(日米等)の2種類 が共存してる
「海に水源がある」と聞いたとき、最初は「???」ってなったけど、これだけ深い背景があると知ると一気に面白くなるよね!海のインフラって陸上の道路標識と同じくらい(いやもしかしたらそれ以上に)複雑なルールで動いてるんだな〜って、ちょっとしみじみした🌊

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